1.28.2011

NISSAN GTR

2007年の暮れ、雑誌GQの取材で根本さんとドイツを訪れた。
発表されたばかりのGTRでカルロス・ゴーンさんが
伝説のテストコース・ニュルブルクリンクを
テストドライブするということで、表紙を含めた巻頭の特集である。

守秘義務の書類にサインをして臨んだニュルブルクリンクの
日産の工場は研究所のようだった。
マスクをされたダークシルバーの直線的なデザインのGTRは
黒光りしている戦闘機のように見えた。
ヘルメットをかぶった寡黙なテストドライバー達が、
入れ替わりに乗り込んでコースに向かって静かに発進していくのが
とても神聖な修行のようだった。
本気でいい車を作ろうとしている情熱がひしひしと伝わってきた。
開発責任者の水野さんのフランクなしゃべり方がとても印象的で、
もちろん使う単語や道具は違うだろうが、
大工の頭領や、ベテランの職人さんにも似た空気を感じた。

さすがにゴーンさんの運転でニュルのコースに入ることは出来なかったが、
楽しそうにハンドルを握って、
私がカメラをもってぐらついているのを笑いながら、
アクセルをかなり踏み込んでいた。
工場から空港に帰る時に、
さらりと自社開発のモンスターをテストするといって
自分でハンドルを握って去って行くあたりはさすが社長である。

世界最速の男、ボルトもGTRを買ったらしい。
2011年モデルには、エゴイストというサブネームが与えられ、
540馬力にパワーアップして、さらに扱いやすくなったとのこと。
街を走る車に、あまりじろじろする事は無いが、
GTRだけはなぜか、注視してしまう。。
そろそろ電気自動車にしようかなどど考えることもあるが、
もし宝くじに当たるようなことがあったら、
実は真剣に欲しいと思っている大人のおもちゃである。
カーボンカットも大事だが、夢ももっと大事なのである。

日産の社長に就任されてから、
時期を追うようにエルグランド、フェアレディZ とともに撮影させて頂いた。
そして渾身のモンスターGTRでも撮影させて頂くことが出来た。

是非一度、ヨーロッパの自宅に飾られているというZとの写真と、
日本の自宅に飾られているというこの写真を拝んでみたいと思っている。

 Canon Eos5D 70~200