5.27.2012

日食・虫・フライデー

5月21日、おそらく始めて日食を観た。
以前なら、きっとまたいつかどこかで見れるだろうから
何も必死こいてみることはないだろうみたいな気分だった記憶があるが、
さすがに早起きして見たくなるのは、歳のせいもあるのかもしれない。

事前に屋上からの太陽の位置はiPhoneのSun Seekerというアプリで確認していたので、
7時頃からパソコンとカメラとお菓子とお水と煙草を持って屋上に出た。
残念ながら薄い雲が広がっていて、あきらめようかとも思ったが、
せっかくなので、SC-72とういうシャープカットフィルターを付けて、
パソコンにカメラを繋いで一服しながら待った。
うっすらと太陽の形が見えたので、数枚撮ってモニターで確認したら、
太陽はちゃんと欠け初めていた。
赤く写っているのは、フィルターの色味のせいである。
赤い太陽もわるくないので、そのままにしている。
太陽のピントは70-200のレンズの無限遠のマークの真ん中から
少し送ったところにあることがわかったので、
ピントは固定にしてしばらくシャッターを押しながら楽しんだ。

ちょうど金環になるころに一気に気温が下がって、
ひゅーっと風が吹くような感じがした。
フェアバンクスでオーロラを10日間連続で楽しんだ際、
オーロラが現れ始める時に同じような感じがしたのを思い出した。
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神様も、おつなことをしてくれる。
うっすらとかかった雲のおかげで、肉眼でも目を傷めることなく
太陽の形が確認できるので、ためらわずにフィルターを外した。
雲を切り裂く日食などという全く予想もしていない写真を撮ることが出来た。
写真の神様にも感謝。

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夕方の撮影までは時間があるので、
早めのブランチをして近所の公園に虫を撮りにいった。
そろそろ蚊が出始めたので、虫の撮影もひと段落になりそうである。

Insects@Tokyo 東京・目黒の虫達

↑フリッカー上の写真がスライドショーで見ることができる。
放射能も飛び交うこの東京で、われわれの足元に
こんなに美しく、いかつい顔つきの虫達が元気に生きていることに少し感動した2週間だった。
そんな気にさせてくれた新しいカメラD800Eにも感謝。

そして夕方、この日3度目の撮影に出かけた。
虫の装備そのままに小型のサンパックの電池式リングライトで攻めることにした。
太陽~虫と続いた締めは、ロンドンオリンピックの選手である。
念のために小型のコンセント式のミニカムのリングライトも用意した。
インタビューの横顔を長玉で抑えながら、黒バックを準備して、カメラには60マクロを装着した。
このカメラでこのレンズが付いたら、すでに撮り目は決まっている。
250分の1秒・f11に設定して被写体との距離を想定しながら
壁に向けてテストでシャッターを押した。
さすがにフル発光にしなければ、絞りはかせげないようだったので、
チャージの速度を考えてミニカムのストロボに変更した。

あがりは、狙い通りのいい出来となった。
ページも増やしていただくことになった。
これは、私の全くの私見になるが、
歴史のある雑誌には、その本が持つ不思議なパーッケージの力があって、
あまり面白くない写真は、その本のパッケージの力に負けて
手が止まらないページとして雑誌に飲まれてしまうような気がすることがあるが、
今回は、そのパッケージの呪縛を破って「何??このページ?」
になれたような気がしている。
もし、憶えていたら、、、、、たまには買って御覧になって頂きたい。
写真週刊誌「フライデー」
発売は6月1日、もちろん金曜日である。





5.16.2012

昆虫撮影(備忘録)

・虫を求めるなら、汚い公園が良い。

・大きなレンズ、カメラよりも、引き伸ばしレンズ逆付けの先細りのほうが虫が逃げにくい。

・犬のうんちすれすれに構える覚悟ならハエは比較的簡単に捉えることができる。

・マクロ撮影をするときは、ファインダーが暗くなるので
アイカップを付けるほうが集中できるし目が楽になる。

・蜘蛛は、いったん逃げてもしばらくするとまた同じところに戻ってくることがある。
前足をあげて威嚇してくる蜘蛛はしばらく撮影に付き合ってくれるナイスなやつ。
威嚇のポーズを確認したら、攻めるべし。

・頻繁に蜜を求めて飛び回っている蜂は捕らえやすいし、比較的安全(自己責任)

・ファインダーを覗いてて、ピントがあっていままで一番恐ろしかったのは蝶
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・どうしても中間リング順付け自動絞りが使いたければ、こんなものもある。
 Kenko デジタル接写リングセット 

等倍から3倍の自動絞りで最も安く、そこそこの性能のレンズを手に入れる方法。

・等倍を超えるあたりからは、引き伸ばしレンズ逆付けのほうがなぜか狙いやすいし
あがりも綺麗で解像度がいいことが多い。キャノンのMPマクロはまだ試していない。  Untitled 

・リングライトはハッセルH、こだわりのライトは逆付けが、上がり的に相性がいい(個人的) 昆虫二倍撮影機(波動砲式) 2× 昆虫撮影機連写型 (乳白アクリル式) 2.5×

・日が落ちたり、雨が降っているほど頑張れば、写真の神様は何か褒美をくれる。 Untitled 

・お昼の散歩とはいえ、すこしでも気合をいれるなら、
犬のうんちを踏んでも平気な靴と、
汚い草むらに這いつくばれる服装と、  
変態あつかいされても動じない心構えと近所付き合いが大事である。

・葉っぱの裏にこそ、宝物が隠れている。 

こんな武器もあるが、4-5倍はフィールドであたりを増やすのは難しい。  
  そよ風が吹くだけで、ファインダーで何も捉えることは出来ない。

・腰を低くしてしばらく狙った直後に急に立ち上がる時は、
立ちくらみに気をつけたほうがいい。
いい歳こいてると、倒れることもあると思う。

・虫を見つけて、ゆっくりレンズを近づけて、ファインダーで虫の目が見えた瞬間に押すべし。
あとから前後してピントを合わせるよりもそのほうが確率がいい。

・飛んでる虫の撮影は、望遠系のマクロでないと無理っぽい。

以上、5/16付



5.13.2012

昆虫撮影とデジタルプリント

手持ちのカメラNikon D800EとHasselbladH3DⅡ-39で
何度か昆虫の撮影を繰り返した。

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Today's harvest

2006年にタイガーウッズの撮影をするために本格的にデジタルカメラを導入したが、
そろそろデジタルカメラの性能にこれ以上を求めることは、
意味がないように思えるほどになったと個人的には感じている。
状況に応じてどのレンズを選択するか、シグマのカメラが気になっているくらいである。

今の機材と心中する覚悟が出来たんだと思う。

そうなると、次はプリントをどうするか?である。
今までは、データ入稿以外ではラムダやインクジェットなどでその時々に応じてやってきたが、
そろそろデジタルプリントに関しても、納得のいく道具をそろえる時期にあると思うようになった。

スタジオマンを卒業するころに出会った写真集「Cyclops」で
かなり悔しい思いをさせてくれたAlbert Watson氏は、
ハリウッドあたりの仕事もデジタルで精力的にこなしていたので、
彼が一体どんな風に出力しているのか調べようと思った。
身近なるものに、シンプルに向き合う視線と、
それをファッションの世界に持ち込む力技。
アナログ時代のこだわりのプリントを、
デジタルの世界で、どういう道具を使って表現しているのか
とても興味深かったからである。

そうしたら、あっけないほど簡単に見つかってしまった。

http://h50146.www5.hp.com/products/printers/designjet/user/graphic.html

まだ、デジタルカメラが流通し始めた頃に、
某編集部で海外のフォトグラファーのあがりを見て驚いた記憶がある。
コダックのインクジェットペーパーの箱に入ってはいるものの、
中にはバライタの印画紙と同じ紙で、フィルムのような粒子の乗っかった
黒が締まった美しいモノクロのプリントが入っていた。
しかし、プリントの裏を見ると箱と同じ名前が
うすくプリントされているインクジェットペーパーだった。
こちらが、デジカメってどうなんよ?とぐずぐずしてる間に、
海の向こうでは、そんなつまらないこだわりなどはおかまいなく
黎明期にして、既に巧みにデジタルを道具として使いこなしていることに
少し感動したのを憶えている。

そんな欧米の環境のど真ん中を一番前で突き進んできた
お金なんていくらでもあるAlbert Watson氏が
協賛がらみで、いささか販促めいたトークではあるが、
自身の往年の作品もこのプリントで出力し続けているということは、
かなりの説得力を感じずにはいられない。

パソコンの隣でずっと眠っていたフォコマートⅡcも、
知り合いを通じて、使って頂けそうなところに旅立っていった。
さて、、、
次なる獲物は、HP Z3200。

5.08.2012

昆虫撮影(一台二灯編)

NikonのD800Eというカメラを購入して、
3600万画素というものにふさわしい被写体を探している。
20年間、慣れ親しんだCanonのカメラを手放したので、
まさに刀を磨いているところである。

あまりちゃんと虫たちを狙ったことなど無かったが、
慣らし運転も兼ねて、時間があればミクロな世界の虫たちの
美しい顔つきを追っかけている。

通常のマクロレンズに中間リングをつけたり、
引き伸ばしレンズを逆付けにしたりするうちに、
目の前には、変換リングの山が出来上がってしまった。
Nikonの最新型の絞り環が付いていないレンズの絞りが、
絞り優先モードにして、好みの絞りでレンズを外せば絞り羽がそのままになって
カメラから外すことが出来、絞込みでのファインダーにはなるが、使えることもわかった。

デジタルカメラはすぐに画像を確認できるので、
あがりを確かめながらいろんなストロボライティングも試すことが出来る。
今日の昼食の後、夕方の犬の散歩時には、
少なかった昆虫達の様子を見に近所の公園に出かけてみた。
光は、APAの同期である福原さんからお借りしたマクロ一台二灯システムである。


今日のレンズは、被写体までの距離をおいたほうが虫が逃げにくいことと、
小型のスポットをコントロールしやすい距離になるEL-NIKKOR 80ミリ f5.6。
ブローニー用の引き伸ばしレンズの逆付けにチューブ2連である。

蜜を吸う蜂はなかなか逃げないので比較的撮りやすい
この写真ではわかりにくいが、かれらは口からものすごいバキュームホースを
花に突っ込んで蜜を吸っていた。
あがりを良く見るとあごが巨大な上に足が8本ある。
新種のアリ発見か!と思ったら、アリグモという蜘蛛のようだ。
目もいくつかある。
貴重な写真かもしれない。
ようやく蜘蛛らしい蜘蛛に出会えた。
3,4ミリほどしかなく油断していたら出会えないやつ。
また、いつ会えるかわからないので、随分追いかけた。
しんじられない速さで歩き、
すごいジャンプをするので見失わないようにするのが大変である。
普段では忌み嫌う銀バエもこうしてみると宝石のようである。
2ミリほどの小さなハエ?
あまり気にしていなかったが、堂々たる躯体である。
ハエはストロボを当てられて瞬間的にいなくなる場合と、
動けなくなる場合があることがわかった。
ピント調節のないレンズでゆっくりカメラごと接近して
ファインダーの中でピントが来た瞬間にとりあえず一撃を加えて
動かないハエをじっくり狙うと良さそうである。
最も食卓に近づいてほしくない黒いハエも
マクロで見ると、みじんも汚くない。
約1時間経ったので一服して立ち去ろうとしたら、
金属のパイプに3ミリほどの蜘蛛を発見。
彼らは、いつからこのたくさんの目を使いこなしているんだろう。
草の中にカメラを突っ込んで撮影することもあるので、
ライトの扱いが、少しやっかいだった。
次はソフトボックスでライトを組んで挑戦しようと思っている。



ごく身近なところに、こんなに不思議な生き物達が普通に存在してることに感動すら覚える。

「普通に、あるがままの姿の中に、美しさは溢れている」

最近、何を撮っていても、そんなことをよく思う。


あまりに美しいので、追加


5.06.2012

月と蠅

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今夜の月はスーパーらしいので、
カメラの多重露出モードで画面全部にびっしり敷き詰めようと思ったが
ワンショット10枚までだったので、ラフに撮影して2枚連結。
D800Eなどというカメラのせいで、 天体望遠鏡のようなものが欲しくなってしまった。


夕方の犬の散歩に当然のごとくカメラを携行した。
4.5匹の蠅を見つけたが、2匹は捉えることが出来た。

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リングライト

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自然光

5.05.2012

Nikon D800E

35ミリのカメラをキャノンからニコンに持ち替えてもうじき一ヶ月である。
当初ローパスフィルターの効いている800を借りて使用していたが、
いまでは確信を持ってローパスの効き目を弱くした800Eにして正解だったと思っている。
前回のポストにも貼ってある多摩動物園で撮ったインコの写真で確信した。
 800(無印)では左側のようなエッジの効いた柔らかな毛並みは出ないかもしれない。 D800E 
左がCapture1で右側がNX2による現像だが、 同じような解像感になるように処理すると、
あきらかにC1のほうが自然で繊細なテクスチャーを保持することがわかった。
(追記:レイヤーを使用しない1-10のシャープネスにおいて)
このことは、Nikonにも報告してあり、
 技術部門で今後の開発に参考にするという返事を頂いてい る。Nikon D800E 
手ブレを極力押えて、高性能のレンズを使い、
解像度を殺さない絞り値で、ピントを慎重に合わせて撮影すれば
えげつないほどの凝縮感のある写真をものにすることが出来る。

しかも、今まではこれほどの高画素の写真をものにするために使っていた
デジタルバックのカメラシステムは、雨の中に散歩で気楽に持ち出すような
値段でもなく、そういう作りでもなかった。
あきらかに雨には濡らしたくないものだった。
ところが、これは耐久性も少しくらいの雨も気にならないNikonのカメラである。
先日の大雨で、待ってましたとばかりに800Eにリングストロボを付けて大雨の中、散歩に出た。
そもそも、このカメラとレンズの高解像をいかんなく発揮するには、
シャッタースピードを1/250に設定して、ストロボ光だけで撮影するのが一番わかりやすい。
あらかじめテストしてわかっていた60ミリマクロレンズの絞りを8~11で
雨がしたたるものを中心に撮影した。   Untitled

犬の散歩の時に、目を付けておいた道端に咲く花の写真である。
色、質感、花弁に付いたストロボの反射を抱いた雫を見て、
アーヴィングペンの「フラワーズ」を思い出した。
1980年に発売された驚くほど印刷が綺麗な写真集である。
ペンの執念の視線に簡単に比べるのはいささか失礼な話だが、
ある意味簡単に、その写真集にも負けないようなデータが
 いとも簡単に出てきてしまうカメラなのである。 

望遠レンズに関しては、400ミリや600ミリあたりの単焦点がベストになるが、
こと等倍以上の超マクロの世界になると、
カメラメーカーのレンズはほとんど発売されていないのが現状である。
ただ、こんな元気なカメラを持っていると、
あれこれ武器を揃えたくなってしまうのは、男の悲しい性である。
以前から気になっていたが、明らかにレンズ性能がよくなるであろう
引き伸ばしレンズの逆付け作戦に挑戦してみた。
やるならもちろん大胆にチューブは幾つも連結して約20センチ。
写る範囲は1センチにも満たない世界である。
当然、動くものを撮るにはそれなりの覚悟が必要になる。
実絞りでの撮影になるので、絞りは欲しいが、絞ればファインダーはほとんど見えない。
かといって、絞りを開ければピントを合わせるのは神業と思えるほどピントが薄くなる。
世界中の昆虫写真のマニアはFocus-Stackingという
ピントの違う写真を複数枚合成する手法で、美しい写真を作っているが、
個人的には、そのやり方はハリウッドの合成映画のようで、なんとも面白くない。
そんな思いで、時間を見つけては、近所で見つけたアリの巣で、
地面に這いつくばって修行をしていたら、昨夜おどろくことがあった。
夜中に寝ようと思って、ふとキーボードの脇に置いてあったカメラを見ると、
すぐ側に、この都会ではあり得ないような7,8ミリくらいの大きなありが居座っていた。
しかも、家には蚊は入ってくることはあっても、アリの侵入は初めてだった。
あきらかに、自分が今、夢中になってアリを撮影していることと、
不思議な因縁を感じずにはいれなかった。。すこし、怖い気もしたが、
まさかとは思うが、モデル志願かもしれないと勝手に決め付けて
棚にあった透明アクリルのレンズカバーで捕獲した。
アリは緊急事態になると特殊な匂いを出して、仲間を呼ぶSOSを発信するということを
何かで見聞きしていたので、レンズカバーを上向きにして
へりまで登ってきてどっちに行くか迷ってる瞬間にシャッターを押した。
そのときにたまたま付いていたレンズが60マクロだった。
おそらく引き伸ばしレンズのリバースが付いていたら、
瞬間的に撮ることが出来なかったはずである。
ピントがあっているかどうか自信は無かったが、
SOSを出されて、家の中にアリが行軍されては困るので、
すぐに、退場していただいた。

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アリの写真を見て少し驚いた。
もちろん解像度的にニコンのレンズの中でも 間違いないと思って用意してあったが、
正直引き伸ばしのリバースを使うべきか このマクロレンズにチューブをつけて使うべきか
悩ましいほどの解像である。 複眼に少しモアレが発生している。みんなは忌み嫌うモアレだが、
個人的には 執念のピントの証だと勝手に思っている。
こんなモアレを怖がっているなら、デジタルなんか辞めたほうがいい。