8.11.2017

蓼科大滝と乙女滝

小淵沢のアジトでは8月に入っても夜明け前に体が冷えてしまって慌てて毛布を取り出すこともあるというのに、山梨や長野でも昼間日の当たる場所は関東と同じような酷暑で、さすがに山の中を一人で何時間も彷徨うのは夏バテしてしまう懸念もあるので、すぐさま思いついた天然の冷蔵庫である滝つぼで涼を取るべく向かった先で、とても素晴らしい滝を二つ見つけた。秋冬にも、また楽しみなポイントが増えた。

★★★蓼科大滝
なぜか今まで行ったことのなかった有名なこの滝は、蓼科郵便局の奥にあるプール平駐車場から歩いて10分ほど。道中の苔むす森と奇怪な大木も見事だ。事前にグーグルマップで上空からの写真を確認したところ森に覆われた一帯に滝つぼの上空だけがぽつんと開けており、曇っていれば優しいトップライトがほんわりと滝つぼを照らすことが予想された。曇り狙いで訪れたら思った通りの光の状況に思わず嬉しくなった。ただ、眺めているうちに長時間露光を試してみたくなり、3日後の雨の直前の夕方に、三脚持参でゴアテックスのパーカーを着込んでのリベンジとなった。

2時間の撮影を終えて駐車場に戻りフィルターをはずそうとしたら、レンズもフィルターも真っ白に結露していることに気づいた。2時間冷蔵庫にいた状態なので当然のことだが、長袖は必携だ。駐車場にあるトイレには往路に立ち寄ることをおすすめする。

 写真はクリックでフルスクリーン推奨
SIGMA DP2 Merrill ND8+CPL f16 4sec ISO100


SIGMA DP2 Merrill ND8+CPL f16 10sec ISO100

SIGMA DP2 Merrill ND8+CPL f16 10sec ISO100


★★★乙女滝
こちらはほぼノーマークだった滝で、渓谷散歩のつもりだったが蓼科パークホテルの駐車場に車を停めて10分ほどの突き当たりの開けた空間にいきなり出現した。滅多に持ち歩かないワイド16〜35ミリズームを覗きながら『さすが俺』である。乙女という名前からは想像できない大迫力の大きさと大音量と水しぶきだった。滝の上手にそって足場は悪いが急な登り道があり、滝を真横から見ることが出来る。ただし、ご覧のように一歩間違うと、軽く死ねる状況なのでくれぐれもご用心を。

Nikon D810 16~35 16ミリ
16ミリでこの状況なので必然的にレンズもあっという間にびしょ濡れになる。
クールダウンには最高の場所だ。

Nikon D810 16~35 16ミリ

Nikon D810 16~35 16ミリ


iPhone
乙女滝から先の『マイナスイオンがやたら多い』滝めぐり散歩も軽食を取りながらのんびり往復で約3時間。歩いていると汗が吹き出るほど暑くても立ち止まって滝を眺めている時は駆け抜ける冷気のせいなのか、マイナスイオンのおかげなのかとても心静かにゆっくりできる。余裕があれば是非。(王滝からおしどり隠しの滝までの道のりが少し険しく王滝で引き返す年配の方も多かった)戻ってからの蓼科パークホテルのフロントの自販機で買ったスポーツドリンクの一気飲みがたまらなかったが、もし友人と一緒なら、このタイミングでどちらが冷えたビールを飲んでいいのか事前に協議しておかないと喧嘩になる状況なこともお忘れなくw

6.23.2017

春雑感

梅雨入り宣言があったものの小淵沢では拡声器による節水を促すアナウンスがあったりで写真散歩には嬉しい日々が続いた。
新緑に太陽の光があたるとなんとも言えない黄緑に輝くのを見るのが、たまらなく気持ちいい。北欧のインテリアにもよく使われる黄緑もきっと厳しい冬を乗り越えた人々の新緑を迎えた幸せを共有しているような気がしてちょっと嬉しい。

写真はクリックでフルスクリーン推奨 SIGMA sd Quattro 24~105

ただし、6月も終わりに近づいて標高1500メートルあたりでも森に入ると蜂がぶんぶんと寄ってくることがわかった。早足で移動してもしっかり数匹が長い髪の毛の後ろで飛び回りながらついてくるし、手の甲や頰に体当たりしてくるやつもいる。あまり振り払おうとして威嚇すると命がけで刺してくる可能性もあるので、落ち着いて写真が撮れない。経験上、この手のことをなめてかかると大体痛い目に合うのでネット帽と虫除けスプレーは軽トラに常備した。


この時期、田舎に住んでいる方ならよくあることだが運転しているとアスファルトの道路を毛虫が体をもりもり動かしながら道路に見事に垂直に最短コースを横断しているのに遭遇する。軽トラは車のノーズがないので道路までよく見えるおかげで確実に踏みつけないように『おい〜』って言いながらパスするが、大型トラックがビュンビュン走る往復車線のある20号線をもりもり横断している毛虫にも何度か遭遇したことがある。もちろん自分の車では視認したら確実にパスするが、運転席が高い位置にあって太いタイヤをダブルで履いた大型トラックが双方向で行き来する20号を渡りきるのは相当の神業だと思える。彼らが一体なぜそんなことをするのか?聞いてみたいし、もし情報網があるなら『20号線はやめとけ』と教えてあげたいところだが、悲しいかないまのところできるのは『May the Force be with you』と念じるだけだ。


春になって、行く先々で、ぼろぼろの軽トラに乗っているせいなのか、小淵沢暮らしも半年経って地元ぽくなってきたのか、道を尋ねられることが増えてきた。『この辺で日帰りの温泉どこかありますか?』『この辺でおいしいお蕎麦屋さんありますか?』もちろん丁寧にお答えしているが、『ご案内します』『一緒に探しましょう』と言いたくなるようなビューティーはなかなか現れない。


こないだ親父の誕生日に簡単なドリップ式のコーヒーをプレゼントしてあげた時に、なぜか2月29日生まれの人のことを想像してしまった。4年に一度ケーキを食べるのかとか、誕生日パーティーはオリンピック並みに派手にやるのか?冗談でいつも4分の一しか歳をとらないって言ってるのかとか、そもそも親が気を効かせて出生記録を改竄したのかとか、産婦人科がコントロールして日にちをずらそうとしたのか?とかどうでもいいことを考えながら、そんなくだらないことをゆっくり妄想できるのも悪くないなとふと笑った。

いろんなことに敏感になってるというか感じる余裕ができているような気がする田舎暮らし。人との会話もあまりないせいか、日本語のスピーキングが衰えているのは間違いないだろう。それとは裏腹に文字になっている言葉や記憶の中の言葉にいろんなことを感じるようになった。どういうことかと言うと、言葉には『温度』があるということだ。フェイスブックを見ていて面白いのは知人友人達が近況等アップする時のプチドヤ顔を想像してのこともあるが、いろんな状況や内容でまさに温度もばらばらのオムニバスな言葉が並んでいることだ。人を嬉しくさせる温度が高い言葉もあるが、小さなトゲに刺さったように引っかかるのが体が冷えるような気がする温度を下げる言葉だ。『めんどくさい』『きらい』『関係ない』。。そういった類の言葉が体や脳からすこ〜〜しづつ熱を奪っていく。もちろん会話や文脈のなかで普通に使われるもので、体があったまっている時にはなんのことはないが、心静かにそれに触れると確実に体が冷えていくのだ。
日本語はむずかしい。

本格的な梅雨入りの気配で撮影日の天候判断をぎりぎりまで待つせいでぽっかり時間が空いたのをいいことに雑感などと書き始めたら収集がつかなくなってきたのでこの辺でw



6.12.2017

百花繚乱2017

あっという間に梅雨に入ってしまった。東京での撮影や打ち合わせでたびたび上京していたせいもあってなんだか慌ただしい春だった。
時々、東京で『ずっと山にいて退屈することないですか?』というようなことを聞かれることがあるが、それが実はそうでもないのだ。日が暮れればネットで映画やテレビ番組を楽しみながら写真調整をして、ウエザーニュースで山梨と長野の天気予報を眺め、日々どこでどんな花が咲き、どんな光で山が輝いているか想像して、朝起きてカーテンを開けて空を確認してiPhoneで音楽を聞きながら軽トラで太陽を追いかけ走り回って自然の姿を眺め写真を撮り、おまけに行く先々の近くの野菜売り場で一期一会の野菜たちを買ってはアジトに戻り、またパソコンを眺めながら美味しいお酒をほんの少しと野菜を頬ばる日々は、まるで東京で連日行きたい写真展や美術館を巡り武道館でアーティストが歌っているのを観に行ったり映画を観たり、シェフが腕を振るった野菜料理を食べているような。。外食することもほとんどないし、お金もガソリン代くらいしかかからないし、やってることはかなり違うんだけど、なんだか不思議な充実感があって、退屈という言葉がまったく当てはまらず写真を仕上げる時間が足りなくなるほどで、むしろちょっぴり忙しいような気がする奇妙な毎日だ。
ということで記念すべき小淵沢暮らし初春の花たちの百花繚乱2017@笛吹フルーツパーク・フィオーレ小淵沢・オオムラサキセンター・ハイジ村・南きよさと花の森・シミック八ヶ岳薬用植物園・信濃境古代蓮の池・清泉寮・富士見高原花の里etc.
(作業が追いつかず写真未調整w)

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SIGMA sd Quattro 24~105

5.01.2017

桜2017

小淵沢では例年よりも遅くに桜が咲いた。
そもそも、桜なんてものは春の訪れを体で感じながら視界の片隅にぼんやり捉えて心の中で嗜むくらいがちょうどいいと思っていたし、花見と称してうすら寒い桜の下で酒を飲むのは酒好きのただの言い訳くらいにしか思っていなかった。ただ、今年は自分自身にとって小淵沢の泣きそうだった初越冬を無事にクリアできたこともあり、地元の人たちが厳しい冬を乗り越えていったいどんな桜を愛でながら春の到来を受け止めてきたのかをこの目で見ておきたくて、ウエザーニュースとネットの開花情報を頼りに近所の桜の名所を積極的に追いかけた。

★わに塚の桜(一本ザクラ)
推定樹齢300年。長きに渡って自由に育ったと感じられる枝ぶりがどの角度から見てもとても力強く素晴らしい。朝方は順光で八ヶ岳、夕方は順光で富士山を狙うことができるので満開時期に天気がいいと多くの人が三脚を並べて待機している。エドヒガンザクラという種類で色濃く小さな花なので、開花したてと満開以降ではずいぶん花の色が違って見える。開花シーズンには18時半〜20時半にライトアップが行われるので、可能であれば昼時に温泉等で時間を潰す作戦で、霧に霞むかもしれない朝焼けと夕焼けに染まる富士山とライトアップされた荘厳な一本ザクラの一石三鳥がおすすめ。30年撮り続けていたり、会社の行き帰りに撮影に立ち寄るような地元カメラマンもごろごろしているので桜を眺めながら情報収集するといろいろと面白い話も聞けて楽しい。
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★実相寺の神代桜
神代桜は推定樹齢2000年。開花シーズンはさすがに混み合っている。2000回も開花を繰り返し、一体どれだけの人々に春の喜びを与え続けてきたか想像もできない。この一本の樹を存続させる叡智を持ちながら一方で自然破壊を繰り返す人類のジレンマを感じずにはいられない。そのまま妖怪になりそうな太く変形した幹とは裏腹に思ったより力強く豊かに花を咲かせていることに驚いた。NASAの宇宙実験から帰ってきたこの神代桜の種が育った桜も境内に存在する。実相寺境内にはいろんなタイプの桜が濃密にぎゅうぎゅうに詰まった感じでエネルギッシュに咲いている。もしかしたらこの土地には何か植物を活性化する秘密があるんじゃないかと思えるほどに迫力を感じた。手が届く高さにも花がたくさんあるので桜の花の写真を撮るには最高の場所かもしれない。
開花シーズンは駐車場500円 畑駐車場は400円。神代桜は日中はずっと順光なので昼前に行って、境内の周りに立ち並ぶ地元ならではの出店でほかでは食べれない軽食をとりながらゆっくり桜祭りを楽しむのがおすすめ。

★真原(さねはら)桜並木
山の中に突然出現するソメイヨシノの750メートルのトンネル。都会の桜並木よりも樹の背が高く、荒々しく枝が伸びているのが印象的。満開以降に車の窓を開けてゆっくり走るだけで桜吹雪が舞い込んできて極楽。道脇に地元の農家のマダムが並べて売ってる野菜がとても元気で安いので要チェック。中央付近の無料駐車場から桜並木を横切って山側に少しいったところに別の駐車場がありその傍に若い桜が元気に並んで咲いている畑がありそこはほとんど人がいないので人物がらみで写真を撮るにはおすすめ。


上記の三箇所は車ですぐに行ける範囲に存在しているにもかかわらず、開花時期にかなりずれがあるので、一網打尽にできないのが悲しい。開花情報は事前に確認したほうがいい。

★高遠城址公園の桜
一度見てみたかった天下第一という謳い文句の桜。
小淵沢から車で約1時間。茅野からの道も午前中は車も少なく、途中の山村の桜を目の端で楽しみながらの快適なコースだった。
公園の丘の下には無料駐車場もあるが竹下通り状態の登り参道を(できれば小さな車で)進んで正面入り口あたりの有料駐車場(700円)に止めるのが便利。公園入場料500円。タカトウコヒガンザクラという固有種の色濃く小さな花がびっしりと空を覆って、まるでピンクのフィルターをかけたような色空間だった。観光客はもちろん多いが車でのアクセスマストなので酔っ払いは見かけずとても静かで平和な空間になっていた。城址ということでピンクの鎧に身を包んだ武者たちが静かに晴れ舞台に立ち並んでいるような気配も感じて、ライトアップのための電柱の無造作な配置がいささか残念ではあったが、天下第一という謳いも偽りなしだと感じることができた。

★フィオーレ小淵沢
小淵沢のアジト至近の公園。桜の状況は中央高速道路越しに目視できるのでいつも様子を伺っていたが、今年はどうやら開花時期にかなり個体差があったようで、葉桜とつぼみが混在していたりで、ザ・満開というタイミングを逃したかもしれない。あたたかい時期はいつ行ってもいろんな花が待っていてくれるマイ公園。

『またな、桜!』と言いたいところだが、来年の桜までにはまたあの恐怖の冬を越さなければならないと思うとぞっとする。
ま、地元桜カメラマン一年生、のんびりやろう♪

3.31.2017

ようこそ、春

ようやく四月になる。
凍えた数だけ春の気配が身に沁みる、と言いたいところだが
油断した途端に今日の雪で身体が冷えて熱が出たようだ。
ま、これで身体も春ボディにリセットだ。
小淵沢での初越冬はいろいろといい経験になった。

ようこそ、春

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3.26.2017

朝陽と雪

(前回の投稿からの続編)
御射鹿池からの山道を下って向かう第3目標は、霧ヶ峰に向かう途中にある普通の橋だ。長野県の原村から茅野あたりの八ヶ岳連峰の西側の斜面には谷を渡る車道橋がいくつもあるが、周りを変化のある樹々に囲まれて朝陽が半逆光からサイド光になる角度で落下防止の仰々しい柵が付いていないその橋を以前からマークしていた。車を走らせている間に太陽が覗きそうだったので、迷わず田んぼ道に車を入れて運転席から写真を撮っていたら朝日が顔を出した。
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目的地に急ぐ。目当ての橋の近くには車を止める場所がないので、少し離れた路肩の広い場所に車を停めて簡単装着のアイゼン『すべらんぞー』を長靴に被せてから70-200ズーム付けっぱなしのD810を首に下げた。思った通り吹きっさらしの橋の歩道部分はかちかちに凍っていた。日の出前の氷の上をスパイク無しの靴で二足歩行するのはほぼ無理だと思ったほうがいい。刻々と光が変わる状況では連射が可能でトラブルが少ないNikonが心強い。

ショータイムだ。まるで白い花を満開にしたような樹々を削るように上手奥から光の粒が降り注ぐ。朝焼けで山々が赤くなるようにうっすらとピンクに染まり始める景色に向かってカメラを向けようとした瞬間、あたりの大気が大きく優しく動くような風が静かに流れた。それはマイナス20度以下のアラスカで10日間オーロラが現れる直前には必ず吹いていたような記憶を思い起こさせる風だった。刹那、樹々に乗っていた雪が舞いあがり、キラキラと輝く。まるで魔法の杖を空いっぱいに振りかざし魔法の粉が樹々に降り注ぐようだった。すると目の前の純白であるはずの雪景色がいろんな色に染まり始めた。太陽から出発して8分間宇宙をかけ抜けてきた光の粒子が地球にたどり着き八ヶ岳に弾かれて雲に遮られながらも地表近くで混ざり合って雪をカラーに変えていた。寒さのせいなのか花粉のせいなのか鼻水を垂らしながら、生『ファンタジー』を始めて見た気がした。
雪の中で朝陽を楽しむ余裕があったら皆様も是非!








やっぱ早起きするといいことあるな。。などと思いながら、正直こういう圧倒的な力を目の前にして自然の恐ろしさも感じた。
魔法というのはきっと自然のもたらす変化が起源になっているような気もするし、魔法使いという擬人化された存在も悪であることも少なくない。いまだに欲にまみれて争うことをやめられない人類、他の生き物を食べなければ生きていけない生態系、生き物のことなどまったくおかまいなく発生する自然災害、、などなどジレンマだらけのこの地球を育むきっかけがこの太陽から飛んできた光の粒子か〜〜。。いや、光の粒子は、最後の色はかなり偶然に決まっているようにも思えたし、きっと全ては壮大な偶然の積み重ねで成り立っているにちがいない。。。いや、まてよ。。と、エンドレスな妄想はいつも続いている。

最終目的地の霧ヶ峰ビーナスラインに入ったら思ったより雪が多く富士見台駐車場の一部以外は雪に覆われたままで車を停められないので、基本的に車に乗ったまま撮影を続けた。富士見台の食堂も閉まっていてサングラス越しでも目が疲れたのか充血したので昼過ぎに帰路についた。