9.04.2017

2017晩夏 雑感

★ようやく秋らしい夕暮れになってきた。
春から夏にかけて、霞のせいで抜けが悪かった空気も少しずつクリアーになって山々がはっきりと見えるようになってくる。そして毎回違う美しい夕焼けをたくさん拝むことができる。田舎に住んでいると、四季折々で清少納言の残した言葉が悔しいほどに身にしみる。一方で、春先に爆発的な緑に包まれていた山や森を魔法のように紅葉で赤く染める自然の圧倒的な『どんでん』のエネルギーに怖さすら感じてしまう。

写真はクリックでフルスクリーン推奨
南アルプス 2017/08/26 18:32 SIGMA DP3 Merrill

★昼間、木漏れ日に包まれ、清流の音に包まれていた気持いい河原が、日が沈んだ途端、気配が豹変する。暗くなって視界を遮られ、川の流れの轟音によって聴覚を奪われ外界の情報が激減する。心地よかった川のせせらぎは、闇夜の魔界の岩門が開く轟音にとってかわり、きらきらと輝いていた岩の隙間から目をぎらぎらさせたもののけがこちらの様子を伺っているように見えてくる。ほんとうは満天の星空や月明かりで照らされたランドスケープも撮影したい気持ちはやまやまなんだが、どうも日没後の単独行はいまだに苦手だ。

日没後の清里大滝の渓谷 
ND8+CPL 30s f11 SIGMA DP2 Merrill

★八ヶ岳連峰の山道を歩いていると『フジバカマ』という控えめな、、というより割と地味な花がまとまって咲いていることがあるが、そこには『アサギマダラ』という蝶がひらひらと舞っていることが多い。望遠レンズにスイッチしてカメラのファインダーで覗くと半透明の羽の色がなんとも言えない薄い青緑色で、『ナウシカ』が空を飛ぶ時に着ている服の色を連想させるのでこの蝶のことを勝手にナウシカと名付けたが、少し調べると、人の気配がしてもあまり逃げないこの蝶は、その優雅な飛び方とのんきな感じとは裏腹にとんでもなく長距離をさすらう蝶らしい。鳥のように激しい羽音を出すオオムラサキがたくましく飛ぶために花の蜜ではエネルギーが足りないのでカブトムシを蹴散らしながら樹液を吸うようになったというのに道中の休憩ポイント?の八ヶ岳でこんなにかわいい花の蜜をちょろちょろ吸ってるだけで、音もしないようにスケスケの羽をふわふわさせながら沖縄から佐渡島まで飛んでしまうなどとはとても思えない不思議なやつだった。そして、一体どうやって、北生まれか南生まれかによって旅をする方角をきちんと把握し、約4、5ヶ月の一生をかけて一度の旅をするローンレンジャーな種族がうまいこと途絶えることなく存続しているのか、想像もつかない。

『虫を見た目で判断するな』 アサギマダラ@横谷峡遊歩道
Nikon D810 70~200

★2台所有しているクリップオンのリングストロボがゾンビの撮影で酷使しすぎたせいか寿命を迎えそうでこのところ不調なので代替機を探していたらその後継機種SUNPAK auto16R proが最弱パワーで閃光時間が6万分の1秒というスペックを見て速攻でゲットした。(現在はすでに生産中止)大型のストロボでも6万分の1秒と謳っている機種は見たことがない印象でさっそく川に持っていった。出力を最弱の1/256にして仕方なくカメラをびちょびちょに濡らしながら撮影したものを部屋に戻りモニターで確認したら、予想どおりピタリと激しい川の流れも水しぶきも止まっていた。どのカットもアクリルのオブジェのようだった。

SUNPAK auto16R pro 出力1/256 @尾白川
1/2000s f8 SIGMA DP3 Merrill

こんなおもしろい武器があるなら、当然、キッチンの流しもすぐにスタジオとなる。流しの底に黒いお盆をおいて水道の蛇口をひねる。あとは『止まれ』と念じながらシャッターを押すだけだ。さすがに流し4面銀レフが効きすぎてなんだかよくわからないが、ま、のんびり作戦を練るとしよう。
今年の秋はいろいろと楽しくなりそうだw

SUNPAK auto16R pro 出力1/256 
1/2000s f11 SIGMA DP3 Merrill